カウンセリングではアドバイスをしない

私たちのカウンセリングルームには、毎日、さまざまな人が相談に来られます。

その中には、具体的な「答え」や、現実的な「解決策」、即効性のある「対策・対処法」を求めて来られる人がいます。

つまり、「アドバイス」を求めて来られるというわけです。

しかし、カウンセリングは、基本的に「アドバイスしない」ものです。

なぜなら、悩みの答えや、問題の解決策などは、自分で見つけるものだからです。私たちカウンセラーは、そのお手伝いをする役割を担っているのです。

したがって、ご相談内容に対して、すぐに「こうするといいですよ」といったアドバイスをすることはありません。

もちろん、必要に応じ、何らかの方策や方針を提案したりすることはありますが、基本的には、「アドバイスしない」ものだと考えていただいたほうがいいでしょう。

にもかかわらず、近年、「カウンセリングは、アドバイスをしてもらえるもの」という誤解をしたまま相談に来られる人が目につくようになってきました。

では、なぜ、そのような誤解をしてしまうのでしょうか？

「〇〇カウンセリング」が次々と登場

「カウンセリングは、アドバイスをしてもらえるもの」という誤った認識が広まり、定着しつつあるということを述べました。

なぜ、そのようになってしまったのかというと、それは、「カウンセリング」という言葉がさまざまな分野で使われるようになったからです。

それにより、各分野で次々と「〇〇カウンセリング」が登場するようになりました。

それらの中には、「カウンセリング」という言葉が持つ本来の意味とは異なる形で用いられているケースが非常に多くなっているからなのです。

具体例を挙げると、「就職(転職)カウンセリング」「結婚(夫婦問題、恋愛)カウンセリング」「美容(脱毛、痩身)カウンセリング」「企業(経営、起業、独立)カウンセリング」「法律(遺産相続、借金問題、ご近所トラブル)カウンセリング」などのようなものがあります。

いずれも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？

こうした「〇〇カウンセリング」は、就職、結婚、美容、法律といった分野で使われている言葉ですが、もちろん他にもたくさんあるのをご存知でしょう。

いずれの場合も、それぞれの分野の専門家が、相談者に対して具体的なアドバイスをするのが一般的になっています。

つまり、「こうするといいですよ」といった具合に、明確な解決策や、取るべき対策・対処法などを示しているわけです。

これは、本来であれば、「コンサルタント」や「アドバイザー」と呼ばれる人が対応するほうが適切な業務(コンサルティング、アドバイス)と言えるでしょう。

にもかかわらず、どういうわけか「カウンセリング」という言葉が使われるようになりました。

そのため、「心の専門家」である私たち「心理カウンセラー」が行なう「心理カウンセリング」でも、悩みや困り事に対して「具体的な解決策や対処法を教えてもらえる」、「明確な答えを教えてもらえる」、すなわち「アドバイスをしてもらえる」と思い込んで来られる人がいます。

しかし、前述したように、カウンセリングは「アドバイスしない」ものです。

ではなぜアドバイスをしないのか？　疑問に思う人も多いのではないでしょうか？

相談に行ってもアドバイスをもらえないのでは、カウンセリングを受ける意味がないと思ってしまう人もいることでしょう。

しかし、決して意味のないものではないからこそ、カウンセリングというものが存在しているのは言うまでもありません。

カウンセリングは、カウンセラーが相談者に対してアドバイスを与えるというものではありません。

したがって、カウンセリングを受けても、具体的な解決策などを教えてもらえるという期待は捨てたほうがいいでしょう。

では、どうすれば、答えや解決策を見つけることができるのでしょうか？

そもそも人には、自分で悩みを解決するだけの力があります。にもかかわらず、解決できずに悩み続けてしまうのは、本来の力を発揮できない状態になっているからです。

ではなぜ、本来の力を発揮できない状態になってしまっているのでしょうか？

それは、さまざまなストレスや疲労など、心に悪影響を及ぼすものによって、心が弱っていたり、不安定になっていたり、混乱してしまったりして、心に余裕のない状態になっているからです。これは、いわゆる「いっぱいいっぱい」の状態ということです。

そのため、自分の悩みを自分で解決するための力を発揮できず、悩みを解決できない状態に陥ってしまっているのです。

ということは、乱れた心の状態を正常な状態に整えて、余裕を作ってあげることで、本来の力を発揮できるようになるのです。

メンタルサポートここころのカウンセリングでは、まず、心の状態を整え、余裕を作っていくところからスタートします。そのうえで、心の成長を目指していくという流れで進めていきます。

弱ったり、不安定になったり、混乱したりして、本来の力を発揮できなくなっている心の状態を整え、余裕を作ってあげることができれば、自分で悩みの解決策を見つけられるようになります。

つまり、悩みを解決するのは、あなた自身なのです。

私たちカウンセラーは、そのお手伝いをさせていただくのが主たる任務と言えるでしょう。

にもかかわらず、カウンセラーがすぐにアドバイスをしてしまうと、その人は、自分で解決する力を発揮できる状態に立ち直ることができなくなってしまいます。

その結果、悩みが生じるたびに、カウンセラーを頼るようになってしまう恐れがあるのです。

こうした事態を避けるためにも、私たちカウンセラーは、あえてアドバイスをしないのです。

「カウンセリングではアドバイスをしない」のは、こういう理由があるからなのです。

最後に、改めて言いましょう。

悩みを解決するのは、あなた自身です。

そのお手伝いをさせていただくのが、私たちカウンセラーなのです。

あなたのお役に立てるよう、いつでもお待ちしていますので、気軽にカウンセリングルームにお越しください。