東日本大震災から10年、今も消えない心の傷
今日(2021年3月11日)は、東日本大震災から10年経ちました。
札幌でも、長い時間横揺れが続き、当時札幌でこんなに大きな揺れを感じたことが無かったので、揺れがこれ以上大きくなるのかなど揺れが収まるまで非難も身を隠すなども出来ずにいたことを思い出します。
その後、インターネットやTVなどで津波の映像が流れても正直受け止めるのに時間が掛かってしまいました。
この震災では、多くの方が被害に遭ってしまい、防災や避難など事前に準備しておく必要性を痛感致しました。
そして、この10年の間には先ほど札幌でこんなに大きな揺れを感じたことが無かったと書きましたが、札幌でも震度6を超える地震が発生し、全道で停電が続いたり、台風上陸が少ない北海道でも大型の台風上陸により被害が発生したりしました。
さらに、昨年は世界的に新型コロナウイルスの感染拡大や北海道では記録的な大雪に見舞われるなど色々なことが起こりました。
異常気象などによる影響かなとも思いますが、異常気象については専門家では無いので、今回は「心」について考えていこうと思います。
ストレスとは何か?
私たちはカウンセリングで「ストレス」について「変化」であるとお伝えしています。
変化というのは日常的に起こっているのですが、インターネットの普及により情報はより早くなり、落ち着く前に変化・落ち着く前に変化・・・と繰り返されることで知らず知らずに心が悲鳴をあげてしまうことが多い時代となってしまいました。
東日本大震災では、一瞬で私たちの生活を奪っていきました。10年経過しましたが被災地ではまだ以前の生活に戻ったということはなく、辛い思いをし続けていらっしゃる方もいると考えられます。
一瞬で奪われた生活というのは、一瞬で大きな変化があったということです。
変化をストレスと考えると「大きな変化」というのは「大きなストレス」と考えて良いと思います。
また、変化のスピードは「ストレスの強さ」と考えると良いかもしれません。
この様に考えると、東日本大震災では一瞬で私たちの生活を奪い、10年経過しても元に戻らないほどの大きな変化があったので、表現のしようがないぐらいの「強くて大きいストレス」がかかったことが考えられます。
そのストレスは、10年経過した今も消えない心の傷や痛みとなっているケースが多いのです。
もし、大きな変化や強いストレスで怖い体験をした人がいたら「ゆっくりとお話を聴いてあげてください」その体験は聞き手にとっても辛いことかもしれませんが、一番大切なことは不安に思っていることや恐怖に感じたこと、怒り、悲しみなどを出来る限り言葉にして吐き出すということです。
言葉で吐き出して解決するのかというと解決には繋がらないのですが、吐き出さないということは、自分の身体の中にストレスを溜め込む(溜め続ける)ということになるのです。
身体からストレスを出して、一杯一杯になってしまった心にゆとりが出始めるまで何度でも聴いてあげて欲しいと思います。
聴くときに注意したいこと
不安・恐怖・怒り・悲しみなどを話してくれるというのは、勇気を出して言ってくれるケースが多いです。そこで、注意したいのが「アドバイス」などです。
「辛いのはみんな同じだよ」という言葉を無意識にかけてしまうことがあるかもしれませんが、この言葉は避けてください。
みんな同じとか、○○と考えたら良いとアドバイスなどをしてしまうと、辛いなどという今の気持ちを吐き出すことが出来なくなってしまいストレスを吐き出すことが出来ず、身体に溜め込んでしまうことに繋がってしまうからです。
10年経過しても元に戻らない環境から考えても、東日本大震災で掛かったストレスは強くて大きいものであり、今もまだそのストレスに苦しんでいる人が多いと思います。
うつ病も同じですが、苦しんだ本人でないとわからないことがあったりします。
本人しかわからない苦しみに対して、聴きての考えは必要ありません。まずはその苦しみをわかってあげることが回復に向けてのスタートとなるのです。
今は、異常気象や新型コロナウイルスなどで今まで考えてもいなかったことが突如起こり、私たちの生活を大きく変えることが多くなってきたと思います。
震災とは違う形かもしれませんが、大きな変化、早い変化というのは「強く大きいストレス」であり、そこから回復に向かうためには「苦しみなどを共感できること」がポイントとなるのです。
緊急を要する場合は、当日のカウンセリングも受け付けていますが、東日本大震災のように緊急事態ではカウンセリングを受けることが出来ないことがあります。その時は、ゆっくりお話を聴いてあげて欲しいと思います。
昨今、ストレスがかかりやすい時代になったので、これからは、心のメンテナンスという観点からカウンセリングスキルも身につけておく時代になってきたかもしれません。
カウンセリングを受けるだけでなく、学ぶことも今後の時代には必要なのかなと東日本大震災からの10年で感じることが多くなってきました。